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【スリム鳴造蔵書;釜池豊秋著「糖質ゼロの健康法」】
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「糖質は人間の食うものじゃない。糖質食うのは不自然や。医療は犯罪や。」
・・などという、一般人類が共感するには大変厳しい「教典」を残されたまま表舞台から立ち去った「糖質制限業界の創始者的存在」であった釜池豊秋先生。
さらに「俺のフンは犬やライオンと同じや!山羊や牛ではない」と語り、ニンゲンの持つ消化機能や腸内細菌さえも否定されて「オレは肉食獣や」と同様の宣言された講演会でのお姿は、既に「健康セミナーの1コーナーの講師」ではなく、もはや「異世界に転回・召喚された孤高の求道者」とも言えよう。
そんな釜池先生ご本人の便、失礼、ご本人の弁によると、釜池先生が医師を廃業されて南国の離島に移住したのが2012年。
釜池先生の「炭水化物憎み」は徹底しており、南国の離島へ移住を決めたのは何と「田んぼがない」からだと明かされている。
田んぼ(炭水化物)がないから「自然な」島なんだと先生自ら語っておられた。
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【沖縄県黒島(グーグルアースより)】
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【釜池先生;談】 ●黒島は人口200人、牛は3000頭。 ●この島には、日本の田舎に必ずあるものがない。 ●それは何か?は?田んぼ!早よ言いなさいよ! ●この島には田んぼが一切ない、それが私はハッピーです。 ●私はコメは毒だと言っている、何この田んぼ潰しちゃえ。 ●・・・と思っているから、田んぼのない黒島で私はハッピー。 |
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私がこの講演会のYoutubeを初めて視聴したのは、糖尿病発症(2016年8月)した直後、糖質制限に最ものめりこんでいた時期であった。
今となっては恥ずかしい話だが、この講演会を視聴して、何と私は本気で「将来はオレも糖質ゼロの環境で暮らすべきなのかな」と考えたこともあったのだ!
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沖縄県八重山郡竹富町黒島 ドローン空撮 4K
【動画出典;姫路空撮 より、共有埋込コードにてリンクさせていただきました】
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「沖縄に行って、釜池先生に弟子入りしようかw でもすぐ怒るすごく怖い人だから怒鳴られたら小便ちびりそうだなw」
とか
「俺は糖尿病になったのだから、江部先生のおっしゃるところの”糖尿人”であり、夏井先生が造語された”糖質セイゲニスト”として、一生、生きていかなければならないんだ」
・・・などと考えて、実際に食生活でも糖質は1日60g以内に抑えたり、糖質多い外食は極力控えたりしていたのだ。
確かに糖質制限”も”実践して半年で体重20㎏減らすと同時に、血液検査の結果がほぼ正常に戻ったというオノレの実経験もあった。
この当時の自分の「糖質制限狂時代」を通じて、人が宗教にのめり込む気持ちも今では分かる気がする。
それは
「効果があれば、その実践法のお陰だと益々信奉し、それが絶対だと思い込んでしまう」
からだろう。
それでも私が”持続可能な”糖質制限狂信者にならなかったのは、やはり私自身の「ナナメで捻くれた性分」つまり、「自分を笑う」ことができたからだろう。
最も糖質制限に集中していた時期でも「毎日肉とチーズ、やれやれドックフードかよ。酒は焼酎のみ。我ながら面白い食生活してるなぁ~ww」と。
しかし、徹底的に炭水化物を憎み人々を煽ってきた釜池先生や夏井先生には感謝している。
私の血液検査の結果が改善された理由はたった一つ。
「メタボだった体重を減らしたから」であり、その主要素としての「糖質制限」の実践にあたり、「集中的に実践するための動機付け」つまり、釜池・夏井の両先生の極論や激しい煽りが「着火剤」となってくれたからだ。
正に「狂気に取りつかれた状態」に追い込まなければ、糖質制限どころか食事制限や運動療法など実践していなかっただろう。

ま、それはさておいても、釜池先生のお考え「田んぼがない島」=「糖質ゼロの島」は本当にそのとおりなのだろうか。
島の歴史や文化や住人の皆さんの食べ物も、釜池先生が言うところの「自然(糖質ゼロ)」なのだろうか?
「人口200人、牛は3000頭。」という黒島にお暮しになっている200人の皆さんは、田んぼがないから全員釜池先生と同じく「糖質ゼロの食生活」を実践しているのだろうか?
講演会では釜池先生は自分が飼っていた山羊を殺して、島の浜辺で焼いて調理している画像が会場で示されたが、この島では住人は動物の調理を浜辺で行っているのだろうか。
もちろん、そんな馬鹿なことはないだろう。
黒島は日本国内である。
ここでは、黒島の200人の住人の皆さんの名誉のため、そして来島される観光客の皆さんのため、島内の食事処でどんなメニューが提供されているか調べてみた。
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🔲そばカフェうんどうや
(沖縄県八重山郡竹富町黒島1552)
Google情報によると、お店のメインメニューは各種そば。
「八重山そば」「ソーキそば」「アーサそば」とメニュー表にあった。
つまり、糖質メインのメニューである。
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🔲Heart Land
(沖縄県八重山郡竹富町黒島466)
Google情報によりますと、こちらのお店もメインメニューは各種そば。
「八重山そば」「味噌そば」「生アーサーそば」など。
そして、牛肉メニューもありますが、それらは「カレーライス」「牛丼」など、釜池先生が忌み嫌う「糖質」とセットされたメニューだ。
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さ・ら・に。。。。で、ある。
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黒島では「みやななご」の呼び名で知られており、関係者らは「ほぼ実物で間違いない」と話している。
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つ・ま・り・は、、、、、だ。
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釜池先生は「黒島は糖質ゼロの自然な島や!」というご主張をされているが、飲食店においてはそばやカレーライスなど「糖質まみれ、田んぼはないけど炭水化物メインのメニュー」であるということだ。
そして、牛の数より少ないという200名の地元の方にしたって、主食として「サツマイモ」を大切にしてきたことが伝わる新聞記事のリンクを皆さんにもお読みいただいた。
さあ、もう分かってきただろう。
釜池先生の言う「田んぼ(炭水化物)がないから糖質ゼロの黒島」というのは大嘘であり、釜池先生を除く199人の地元住人の方はサツマイモやご飯など「糖質」をモリモリ召し上がっているということだ。
また、島内の飲食メニューは決して糖質ゼロではないので、観光客の皆さんも安心して、どんどん来島して黒島をお楽しみになれば良いだろう。
もちろん、黒島名物の牛肉料理も堪能すれば良いだろう。
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人口より牛が多い『黒島』
3年ぶりの牛まつり開催で島に人あふれる
【動画出典;【琉球放送】RBC NEWS より、共有埋込コードにてリンクさせていただきました】
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がんばる!畜産!
6沖縄県牛の島、黒島の畜産の歴史 30分
【動画出典;(公社)中央畜産会 経営支援部(情報) より、共有埋込コードにてリンクさせていただきました】
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黒島の畜産の歴史の動画を拝見すると、寄生虫やダニ、水や土壌の諸問題などの苦難を乗り越えて、今の安定した状況になっていることが分かるだろう。
「田んぼがないから自然な島や!」では、決してないことが分かるだろう。
ましてや、釜池先生は講演会で自ら「食料品は石垣島から仕入れる。冷凍庫は必需や」と言っているように、黒島では他の住人の方と同じように「人間社会のインフラ、助け合い」の恩恵を受けて、島で生きていけるのではないか。
サツマイモの栽培、牛の畜産など、住人の皆さんの大変な苦難と努力の結果、今の美しく豊かな黒島があるわけなので、ペットの山羊を殺して勝手に浜辺で勝手に丸焼きにする釜池は、島の人にも迷惑をかけたり嫌われているのではないか、とんでもない輩である、と、断定して結論付けざるを得ない。
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た・だ・し。。。。で、ある。

「山羊殺し」も「田んぼがない島」も、釜池先生にとっての自然な生活行為だということは分かった。
しかし、動画視聴した私が持つ、この言いようのない違和感、不快感、嫌悪感は何なんだろう?
もし仮に「人間社会を痛烈に批判する」釜池先生が「田んぼのない環境」どころか「電気も水道もない環境」で、飼っている山羊ではなくて、素早く動き回る屈強な野生の動物を狩猟して仕留めて殺して食うんだったら、「自然な生活」として何ら違和感も嫌悪感もないだろう。
どこかの山奥で掘っ立て小屋でも建てて、自家製水道でも引いて、野生のイノシシやシカやツキノワグマを槍やワナで仕留めて、それだけで生活すれば、正に「人間社会に頼らない、自然な環境下での糖質ゼロの実践者」であろう。
こういう状況であれば、私は大いに釜池先生を尊敬する。
黒島であれ他の場所であれ、結局、人間社会や地域社会の恩恵を受けた中での「糖質ゼロ」とか、甘えているとしか言わざるを得ない。
釜池先生著作に記載されていたプロフィールによると1946年のお生まれなので今年(2024年)78歳になられるはずだ。
78歳だと「狩猟生活」は年齢的にきついかもしれないが、年代別トライアスロン優勝者でもあられる体力の持ち主である釜池先生であれば実現可能であろうと思いたい。
た・だ・し。。。。で、ある。
糖質ゼロ実践のための狩猟生活?
否、否。
そうではない。
そうではあるまい。

「黒島での糖質ゼロ実践」という2012年の講演会を最後とし、公の場から消え去った釜池先生。
あれから12年経過したが、先生はまだ島でお暮しなのか?
私は、もう既に、島にはいらっしゃらないような気がしないでもない。
私の思いはただ一つ。
釜池豊秋先生には元気で長生きしてもらいたい。
前回に書いたが、大変失礼ながら、「豊秋」というお名前からは、名付け者の「お米の収穫の喜びや脈々と引き継がれた日本の伝統を受け継いでほしい」との思いも感じられる。
私個人的には、釜池先生にはいつの日か大復活してほしいと願っている。
それも「糖質ゼロ」ではなくて、「炭水化物推進論者」として、世間や糖質制限推進派センセどもを、あっと言わせる「大変身したカマイケ」とした姿である。
いつの日か信州の山奥かあるいは瀬戸内の島とかで、棚田や段々畑に汗を流し、炭水化物と共に暮らす「ニュー釜池」の姿を「ポツンと一軒家」あたりの番組で登場していただき、日本中を驚かせてほしいと妄想することもある!
「やっぱり炭水化物は食べないとアカンのや!」と・・・・・・・
「日本の土を大事にせなあかんねん、腸内細菌のためにも」と・・・・・
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どうして私が「炭水化物推進論者としての釜池先生の大復活」を望むかと言えば、やはり人間はタンパク質・脂質・炭水化物(糖質+食物繊維)・ビタミン・ミネラルを偏ることなく満遍なく摂取したり、関わりや助け合いなどの社会とのつながりの中で生活することによって、健康で長生きできると思っているからだ。。。。
しょせん釜池先生は田んぼがない島と言ったって、人々の営みや社会のインフラの恩恵を受けてヌクヌクと「自然な島で糖質ゼロや」とドヤっているだけだというのが、私の個人的な感想である。
一方で、意図せず思いもかけず望んでもいないのに「人間社会に依存できない糖質ゼロ」の環境に強制的に追い込まれて苦悩した人々の歴史もあるのだ。
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●「漂流」(新潮文庫)・・・著者;吉村昭
(スリム鳴造;蔵書)

「漂流」は、史実に基づいた検証を元に、数多くのノンフィクション歴史小説を著作されている吉村昭先生の作品である。
内容は、江戸時代に土佐の船乗りが暴風により黒潮に流されて、絶海の孤島である「鳥島」で生活せざるを得なくなった史実に基づいた小説である。
無人だし南海なので、もちろん「田んぼ」はないし「畑」もない。
食料は渡り鳥(アホウドリ)と海岸で摂れるわずかな海草や貝のみ。
主人公のひとりは生き残って12年後に生還するという内容である。
糖質ゼロと穀物がない環境で人々はどうなるのか?
そして、人々の助け合い、協力が、人生においてどんなに大切なことなのか?
次回は、いわば強制的に「糖質ゼロ生活」に追い込まれた人々はどうなるのかを、吉村先生の「漂流」を参照にして、私の感想を書き連ねていくつもりである。
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釜夏物語(ボクの糖質制限狂時代)
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