ヘルシー長寿研究会2022(4)感染対策と身体活動の両立

厚生労働省は2022年7月29日、2021年分の平均寿命と平均余命が記載された令和3年簡易生命表を発表しました。
令和3年簡易生命表によると、
男の平均寿命(0歳の平均余命のこと。以下同じ)は 81.47 年、
女の平均寿命は87.57年となり
前年と比較して男は 0.09年、女は0.14 年下回っている。

平均寿命の男女差は、6.10 年で前年より 0.05 年縮小している。

また、主な年齢の平均余命 をみると、男女とも全年齢で前年を下回っている。

【出典;厚生労働省HP 令和3年簡易生命表の概況 より、抜粋引用させていただきました。】

上記引用のとおり、令和3年分の平均寿命は前年と比較して男は 0.09年、女は0.14 年下回っています。
平均寿命が前年を下回るのは、東日本大震災の影響を受けた2011年以来となっているそうです。
平均寿命の推移(1980-2021).png
【画像出典;厚生労働省HPより転載させていただきました。】

🔲日本人の平均寿命が男女とも前年下回る
「新型コロナで死亡率が上昇が影響」 
厚労省(2022年7月29日)
動画出典; ANNnewsCH より、共有埋込コードにてリンクさせていただきました。】

死因別では、新型コロナによる影響だけで男性は0.14歳、女性は0.09歳、平均寿命を短くする効果があった一方、肺炎やがんは死亡率が下がり、平均寿命を伸ばす方向に働いたとの厚労省の分析です。
平均寿命の前年との差を死因別に分解(2021).png
【画像出典;nippon.com 平均寿命、10年ぶりに縮む―コロナがマイナス要因に : 女性87.57歳、男性81.47歳 より転載させていただきました。】
令和3年の死亡数は 143 万 9809 人で、前年の 137 万 2755 人より 6 万 7054 人増加しています。
前年の令和2年死亡数は、前年比で8445人減少していますので、令和3年は死亡者数が大幅に増えたことになります。
令和3年の死亡数を死因順位別にみると、
第1位は悪性新生物<腫瘍>で 38 万 1497 人(令和2年;37 万 8356 人)
第2位は心疾患(高血圧性を除く)で 21 万 4623 人(令和2年;20 万 5518 人)
第3位は老衰で 15 万 2024 人( 令和2年;13 万 2435 人)
第4位は脳血管疾患で 10 万 4588 人(令和2年; 10 万 2956 人)
なお、肺炎は 7 万 3190 人(令和2年; 7 万 8445 人)
新型コロナウイルス感染症は 1 万 6756 人(令和2年; 3466 人)となっています。
令和3年(2021年)主な死因の構成割合.png
直接の死因がコロナでなくとも、感染による衰弱で持病が悪化して亡くなる人が増えているともいえましょう。
重症化しないと言われる変異株であっても高齢者や持病がある人などが感染すれば、体力の低下で死亡するリスクが高まる点に注意しなければならないでしょう。
感染拡大防止のための外出自粛や人と会う機会が激減しているという「低活動・不活発」により社会問題化しているのが、主にご高齢者の体力や認知機能さらには感染症への免疫力の低下などの健康二次被害を引き起こす負のスパイラル、すなわち「コロナフレイル」です。
「コロナフレイル」について

コロナ禍の今、食事の偏りや運動不足、人との関わりの減少により、シニアの皆さんのフレイルの進行が懸念されています。
からだや心の機能が低下した状態を「フレイル(健康と要介護の中間の虚弱状態)」といい、フレイルが進むと、からだの回復力や免疫力が低下にもつながりますので、免疫力を高めるためにも、フレイル予防に取り組みましょう。
01フレイル(1).png
【記事および画像出典;健康長寿とちぎ「コロナに負けない!フレイル予防!」より、転載させていただきました。】
コロナ禍における「健康長寿3つの柱」
健康長寿のための「3つの柱」.png
【参照画像;健康長寿ネット「より早期からの包括的フレイル予防」より抜粋して引用させていただきました。】

🔲コロナ禍の今こそ介護予防・フレイル対策を
【動画出典; 公益財団法人長寿科学振興財団 より、共有埋込コードにてリンクさせていただきました。】
【動画のポイント】
🔲「感染対策(密を避ける)」と「介護予防(身体活動=社会活動)」の両立が必要
🔲運動をしない人でも、買い物などの「社会活動」の日々の積み重ねが「身体運動」となる
🔲買い物に行かなくなると、生鮮食料品(たんぱく質)の摂取が減り栄養状態が悪化する傾向がある
🔲コロナ禍で日頃座りがちな生活の方は、ウォーキングが非常に行いやすいし効果もあると思う。
🔲運動は続けなければ効果が出ないが、ウォーキングは習慣として定着しやすいのでお勧めしている。
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【画像出典; 健康二次被害防止コンソーシアム事務局 より転載させていただきました。】

当特集「ヘルシー長寿研究会シリーズ」
これまで掲載しました「コロナ禍の健康対策」についての記事も、是非ぜひZehiゼヒご参照ください。
(2020年9月30日)
コロナ禍でのご高齢者の健康対策について「検索小僧かつyoutubeヲタじじい」の私スリム鳴造が、お役立ち頂けそうな記事や動画をチョイスさせていただき掲載しております。
また、フレイル予防の一助となるであろう、たんぱく質がタップリ摂れるスリムちゃんレシピもUPしております。
(2020年10月19日)
下肢筋肉量の20歳からの変化率(再春館製薬HPより).png
筋肉は90歳でも、そして100歳を超えても鍛えれば強くなっていることが分かっているそうです。
もちろん加齢に伴って、誰もがカラダや健康に様々な支障をきたすようになることは避けられませんが、適度な運動、十分な栄養に留意して、うまく「老化」と折り合いながら、できれば健康でいられる年齢を積み重ねていきたいものでございましょう。
(2020年12月18日)
フレイル・ドミノ ~社会性の重要性を再認識すべき.png
【参照画像;健康長寿ネット「より早期からの包括的フレイル予防」より抜粋して引用させていただきました。】
私は上表の「フレイルドミノ」を見て、驚き、そして新たな知見を得ました。
当ブログは「食いもん系」でもありますし、ややもすれば私自身「健康はまず食事や栄養が一番大事である」とずっと思っていました。
しかし、この画像の「フレイルドミノ」では、不健康への第一歩は「社会のつながりを失うこと」が原因となっています。
つまり、億劫でも面倒くさいときがあってもストレスがかかっても「他者(社会)と関わることの活動量」がいかに人間にとって大切であるかということなのでしょう。
と、同時に、アスリートや強度な運動習慣がある方は別として、ほとんどの一般人にとっては、実は「外に出て働いたり人と会ったりして、結果的にカラダを動かす」という「社会参加」こそが、「適度な運動」という活動の大半を担っているということも言えるのではないでしょうか。
(生物におけるヒトは、なぜ繁殖終了後の人生が長いのか?その原因として、「高齢者は社会に役に立つための能力が高い」からではないか、つまり「おばあちゃん効果」があるからではないかという学説があります。詳しくは拙ブログ「ヘルシー長寿研究会(8.おばあちゃん効果?)【2019敬老の日】」をご参照ください。我ながら面白い記事ですよ。)

「ヘルシー長寿研究会2022」では、「高齢化」&「少子化」そして「多死社会」を迎えていく時代の中で、「ヘルシー&長寿」を目指し、読者の皆さまとお役立ち情報などを共有できたらと考えて記事作成していきます。

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