ヘルシー長寿研究会(8.おばあちゃん効果?)【2019敬老の日】


【孫378頭の一生を分析、シャチにも「おばあちゃん効果」、研究】
シャチは、メスが閉経する数少ない哺乳類の1つだ。
ヒトも閉経するため、あまり疑問を感じないかもしれない。
だが、死ぬ前に繁殖機能を失う閉経は、より多くの子孫を残すほうが有利という進化的な観点と矛盾するため、大きな謎とされてきた。
新たな研究によって、シャチのこの謎の一端が解明された。
おばあちゃんシャチがいると、孫の生存率がぐっと上がるという。
おばあちゃんシャチが死ぬと、その後2年間は孫の死亡率が大幅に上がることもわかった。
シャチは母系集団を形成するので、食料源などの重要な情報を持つ高齢のメスが、群れの生死を左右しているのかもしれない。
シャチのメスは40歳くらいになると繁殖を行わなくなるが、90歳くらいまで生きる。
一方、オスの寿命は50歳ほどだ。

【出典;記事画像ともに「ナショナル ジオグラフィック NEWS(2019.12.11)」;シャチが閉経後に長生きするのは「孫のため より抜粋引用させていただきました。


ほうほう!
極地から赤道近くまでの広い範囲に生息しているというシャチは、最大40頭ほどの固く団結した群れを形成し、狩りを行うときは群れで協力し合うという高い社会性を持った生物と言えましょう。
今回のニュースを読んで、中学生の頃観た「オルカ」というシャチの洋画を思いだしました。
漁師に妊娠中の妻子を殺されたシャチ(オルカ)が、その漁師に復讐するという内容でしたが、シャチという生物の感情の豊かさと、その頭の良さから着実に実行される復讐劇に、恐怖を覚えながら鑑賞した記憶が甦りました。
シャチが高い社会性を形成できるということは、感情豊かで知能が発達している生物ということでしょう。
そして シャチは、ヒト以外ではゴンドウクジラが知られているのみである数少ない「閉経する哺乳類」との事です。
つまり、ヒトやシャチ以外の閉経のない大半の哺乳動物は死ぬ間際まで繁殖できますが、逆に言えば繁殖期間が終えれば寿命を迎えるようです。
引用記事のように閉経のあるシャチの雌は、「集団の存続のための孫の世話」つまりシャチの世界なりの「社会性」ありていの言葉で言えば「お役立ちの存在であること」が長寿の一因なのかもしれません。

ヒトの場合においても、閉経後に平均して30年以上生き続ける現象については、リパプール大学の進化生物学者ケビン・アーバックル博士は、以下2点の仮説を打ち出されています。

1つ目は、更年期(繁殖期後生存期間)の寿命延長は生物の進化過程での順応現象ではなく、進化上で起こった「不測の事態」すなわち、単に偶然生じた老化プロセスの「ずれ」だとだとする説です。
元々、ヒトの肉体は短命にデザインされていたはずだが、現在のように想定外に長く生きるようになったことから、生殖年齢後の寿命を引き延ばしている状態が生じているという考えです。

2つ目は、冒頭のシャチの記事にも登場した「おばあちゃん効果」による「おばあちゃん仮説」です。
、「おばあさん仮説」とか「おばあちゃん効果」と呼ばれている学説がございます。
【おばあさん仮説とは】
哺乳類の中ではまれな現象であるヒトの女性の閉経と、生殖年齢を過ぎたあとも非常に長い期間生きることが、どのような利点を持っていたために進化したのかを説明する理論である。
ダーウィン主義的な視点からは、自然選択は有害な対立遺伝子の発現を遅らせるよう働くはずであり、閉経が繁殖率を低下させるのならば、なぜそのよデータは示唆うな現象が広く見られるのかは興味深い現象である。
おばあさん効果は人間の(特に女性の)長寿の主な要因だと見なされる一方、逆が事実かも知れないことをしている
つまり人間の長寿がおばあさん効果の原因かもしれない。
歴史的なデータの分析では、女性の繁殖終了後の人生の長さが、子どもの繁殖成功や孫の生き残りを反映していることを示している。

【出典;ウイキペディア「おばあさん仮説」より抜粋引用させていただきました。】
おばあちゃん効果.jpg
シャチ(推定寿命;オス50歳、メス90歳)の場合は、男女の寿命差が著しく大きいので「おばあちゃん効果」は「群れ集団での高齢メスのお役立ち能力の高さ」によるものが大きいのではと、スリムちゃんは考えます。
一方、ヒトの場合(2019年現在日本人平均寿命;男性81歳、女性87歳)も女性のほうが長生きですが、男女の寿命差はシャチより小さいので「おばあちゃん効果」は女性特有の行動ではなく、広く現代文明社会における「男女その他問わず、高齢者のお役立ち能力の高さ」でありましょう。
人類の先祖も文明以前の大昔においては、繁殖時期を終えるころに寿命を迎えていたのではないでしょうか。
文明が花開き「炭水化物という長期保存できる食物」が手に入り食環境や社会が安定してからは、繁殖時期後も長く生きて社会にお役立てしている「おばあちゃん効果」が、人類長寿化の一因となったという考え方や仮説が提唱されましたのでしょう。

「100歳以上の高齢者」の画像検索結果

100歳を超える人は本年(2019年)9月現在で、我が国の百寿者が7万人を超えた統計において、「百寿者」の9割が女性そして1割が男性と、圧倒的に女性が多いようです。

その原因については、以前に記事で超個人的な感想ながら私「スリム鳴造」が以下3点のとおり考察しました。

①女性は自分で自分の身の回りの世話ができる人が多い。
(普段の日常活動量が多い)
②女性は友人知人と「酒なし」で「お茶」で楽しく雑談できる。
(副交感神経が優位)
③女性は健康や美容や流行など年齢を重ねて好奇心が旺盛。
(生きがい、前向きな思考)

そして、今回記事の「おばあちゃん効果」を加えてみたいと思います。

④女性は「おばあちゃん効果」つまり、人に役に立つための行動力がある。

もちろん人間はひとりひとり違うし、特に今の時代に「男がこうだ、女がああだ」と決めつける気はありません。
ただし、「あくまで統計上」では女性のほうが男性より「長寿」であることは事実ですので、男女その他全く関係なく、生活習慣上の上記4つの長寿ポイント「自立する」「ストレス溜めない」「健康状態を把握する」「役に立つことをする」を、実践していくことも「健康長寿の一助」になるものと思われます。
桃太郎

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