【番組感想】糖質制限ダイエットは正しいのか?①ブームを検証

令和元年10月にBS日テレで放映された「深層ニュースFRIDAY」の「糖質制限ダイエットは正しいのか」という番組を視聴しました。
今回の特集シリーズは、実際の糖質制限実践者である私「スリム鳴造」が、番組の感想をゆる~く書き綴ってまいります。

なお、この番組進行を書き起こしたサイトがありますので、ご関心ある方はご参照くださいませ。

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まず番組タイトルの「糖質制限ダイエットは正しいのか?」ですが、「ダイエット」としていますので、糖尿病などの病気に対する食事療法やプロアスリートが行うトレーニング法についての糖質制限ではなく、大ブームとなった「ダイエット法としての糖質制限」について、一般視聴者すなわち広く一般国民に向けて企画された番組だと分かります。
病気治療やトレーニングではなく「社会現象として定着したダイエット”健康法”としての糖質制限は、果たして安全なのか」を検証および議論して、それを視聴者の皆さんに見て頂き、判断していただきたいという番組でありましょう。

番組に登場する人物、および当番組に表示された肩書と主な著書など
●夏井睦・・・「日本糖質制限医療推進協会顧問」
  著書「炭水化物が人類を滅ぼす」
●幕内秀夫・・・・「管理栄養士」
  著書「世にも恐ろしい糖質制限食ダイエット」

炭水化物とは「糖質+食物繊維」で構成された栄養素です。
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番組における「糖質制限ダイエット」賛成派は、「(食物繊維を含む)炭水化物」が人類を滅ぼしてしまうとのホンを書いた夏井先生。
片や「糖質制限すると世にも恐ろしいぞ」と書いた反対派の幕内先生。
賛成派反対派それぞれ対極に位置する「分かり易いタイトル」の著者なので、TV局にお呼ばれした流れがあるのでしょう。
夏井先生については、TV出演動画をかなり見て勉強させていただいたので存じておりますが、幕内先生については、私にとって初見ということになります。
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さて今回、夏井先生は「日本糖質制限医療推進協会 顧問」というお立場で番組出演されています。
スリム鳴造「へぇ~。夏井先生は糖質制限推進派センセ協会の重鎮で在られたのか・・スゲー」
この糖質制限推進協会というのは、主に2型糖尿病患者に対する「食事療法としての糖質制限」を医師たちが推進する協会だという私の認識ですが、今回の番組テーマは病変に対する食事療法ではなく「ダイエット」です。
番組冒頭から早くも私は「自分が痩せたというだけで炭水化物が人類を滅ぼすというホンを書いてしまった整形外科医が国民全般の健康を担保できる話ができるのか?夏井先生、大丈夫か?」と心配になりました。
つまり、当番組で国民の病気を治療する医師の団体である「糖質制限推進協会」の看板を背負って出演された夏井先生の発言内容や態度振舞い如何によっては、その協会傘下で推進している日本中の医者や患者にも影響を及ぼすからです。
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閑話休題。
ここで、私と糖質制限の関わりについて少し語らせていただきましょう、か。
私「スリム鳴造」は3年前の2016年8月4日、肥満(最大87kg、身長174cm)が原因と思われる「2型糖尿病」と診断されました。
診断を受けた私は、可及的速やかに「メタボからの脱却」を図るべく選択したのが「糖質制限食事法」でした。
ただし、糖質に大きく依存していた食事内容を変えたので、結果的には食事総量が大幅に減った「カロリー制限」も同時に行ったことになります。
狂気&凶気の如く、凄まじい集中で嵐のように実践した私の「厳しい糖質制限狂時代」は約半年に及びましたが、体重が64㎏と20㎏減量し、血液検査の結果も改善された後は、「糖質を適量摂取し、食物繊維ビタミンミネラルを意識した食事」に変えて今日に至っております。
つまり現在は、糖質制限を卒業し「糖質を悪者にする糖質制限推進派」には反対という食生活を過ごしています。

●短期間の糖質制限を卒業後の、私の食事内容の一例
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●ズッキーニのぬか漬け
●かぼちゃのバター醤油きんとん、レーズン&きな粉かけ
●ヌルヌルネバネバポン酢(もずく、刻みオクラ、ミョウガ、納豆昆布)
●ゆで卵とトマトとアボカド
●おからサラダ(ズッキーニのぬか漬け、玉ネギ、カニカマ)
●サンマ塩焼き、なめこ入りおろし大根
●もち麦入りご飯
このように、糖質の含まれた「ご飯」もありがたく頂いております。


幕内先生【談】
今回のブームは、京都・高雄病院の江部(康二)先生が、2005年に『主食を抜けば糖尿病はよくなる!』という本を出したのがきっかけです。
私は江部先生とは20年来のお付き合いで、実は本になる前の原稿段階から読んでいたんですね。
それくらい江部先生とは親しかったんですね、今でも仲悪いわけではないんですけど。
ただし、そのころは「糖尿病」という冠(タイトル)がついたんです。
それが今、糖尿病からダイエットに裾野が広がって、最近は、大人から子供、誰でもいいという話になってきている。
こんなことでいいのか、非常に危険なブームだと考えています。

「糖尿病治療としての食事療法ならともかく、ダイエットとして広まった糖質制限ブームは危険だと思う」という、幕内先生の発言に、私は1000000%以上賛同します。

幕内先生が江部先生の例を示されたように、糖尿病など病気治療の一環としての「糖質制限食事法」を、医師がご自身のお考えを著作でお示しになることは、大変大切な事であり、患者の立場である読者も大いに参照し、自分の治療について色々考えることでありましょう。
かつて私自身も「肥満治療の食事療法」として糖質制限に集中していた頃は、糖質制限推進センセの講演やホンを大量に聴講・購入して自分を取り囲んでいました。
「糖質過剰摂取の弊害」を理解するためには、そのような「狂気の時代」が私には必要だったということなので、その1点のみにおいては、この番組登壇者である夏井先生その他の糖質制限推進派センセたちには感謝しております。
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と・こ・ろ・が。。。だ!

糖尿病や肥満に対する「治療としての糖質制限」を超えてしまい、医師どもが、それもダイエットとは程遠いブサイク爺さんたちが「驚異のダイエット法だ!」などと「医師免許の影響力」を使って、糖質制限を「ダイエット」として売り出してしまいました。
ダイエットと結びついた「糖質制限」は出版社、情報商材屋、マスコミ、食品メーカー、商社、そして医者などに徹底的に食いものにされて「たやすく金儲け」できるツールと化してしまいました。
商売になる「糖質制限」はやがてネーミングで分派していき「断糖だ/MECだ/牛脂だ/メガビタミンだ」とブサイクでカッコ悪い教祖を祀り上げて入信し、SNSやFBグループという21世紀の新興宗教とも言うべき「フードファディズム信者」になっていった人々が増えていった背景もあるでしょう。
それこそが「承認欲求が強い人が陥りやすい、21世紀ネット時代のもう一つの恐ろしい病巣である」と、スリムちゃんは考えます。
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山口博弥・読売新聞編集委員【談】
「ヨミドクター」で糖質制限ダイエットを取り上げると、かなり反響があるんです。
今、幕内先生がおっしゃいましたように、確かにこれまでいろいろな低炭水化物ダイエットとか、糖質制限ダイエットが出てきましたけれども、今回のブームは、いろいろな糖質ゼロの商品が出たり、私の周りでも実際に実践している人が結構いたり、かなり市民権を得ている感じがするんですね。
だからこそ、健康への悪影響がもしあるのであれば、ちょっと心配です。

編集委員の山口さんの「糖質制限ダイエットのブームによって、実践する国民に健康への悪影響があれば心配だ」というご意見は、公共性の高いTVや新聞を通じて国民の安全について情報提供するお立場であれば、ごもっともな問題提起でありましょう。
山口さんがご心配されているように、カッコ悪い医師が「驚異のダイエット法だ!」などと、「医師免許の影響力」を使って書いたクソ本をホイホイ信用して、せっかく健康なのに、自己流でダイエットを実施し健康を害してしまったら本末転倒だということです。
ましてや「医師たちでさえ」、「糖質が悪者だ、制限すればダイエットになる」という内容の「世紀のクソ本」をバイブルかのように信奉する人たちがいること自体、「異常な糖質制限ブームに医師さえ翻弄された」ことの深刻さや病根が如実に現れていると思います。
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糖質過剰な人が、一時的に摂取制限すれば痩せる効果があることは、何もこれらホンを出したセンセ方が偉いわけでも神様でもなんでもなく、知ってる人は知っていて、単なる生理現象ということに過ぎません。
糖質制限推進派医師やその信奉者たちが目の敵のように攻撃している「糖尿病学会の糖尿病専門医」の人たちでさえ「過剰な糖質摂取に気をつけましょう」と指導されています。
一方で、ボディメイク系のプロ競技者で「トレーニング法の一環として糖質制限を実施している方々」も口々にこうおっしゃられています。
「健康な人は決して糖質制限ダイエットを行ってはなりません」と。
さらに、今回「糖質制限の反対派」として出演された幕内先生も、番組の中で「糖質過剰摂取の健康に及ぼす弊害」そして「糖質制限したら栄養不足になるので痩せるのは当たり前」と発言されています。

つ・ま・り。。。。は、だ。

答えはもう出ているのです。
「糖質過剰摂取で様々な弊害が出ている肥満者にとっては、短期的対症療法的な糖質制限によって痩せる」と。
そして「短期的に実践するには効果はあるが、長期的に特定の栄養素を断つという極端なダイエットは、一般国民の幅広い健康については実証されてもいないし、それどころか危険だろう。」と。
「その先」の「根本的な問題」である「視聴者つまり国民の健康」としての「糖質制限ダイエット法」は正しいのかどうかを視聴者とともに考えるという、正に令和新時代に企画された当番組の目的、「健康に関して国民の利に供する情報を提供する」ということでありましょう。

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「糖質制限ダイエット」を継続的に行うと、「糖質を効率よくエネルギーに転換する」という「糖耐能」の機能が衰えてしまい、リバウンドの原因になるのみならず、穀物などから摂取する「食物繊維」の不足と「肉や脂の食い過ぎ」で腸内環境が悪化し、かえって肥満し易いカラダになったり糖尿病発症リスクも高まっていくとの論文の紹介や記事や実践者たちの体験談が、既に幅広く情報共有されている令和新時代。。。。
食べ物について「これは食って良い。これはNG食材だ。ダイエットにもなる」という医師でありながら人類の栄養素をガン無視してフードファディズムに陥った医師連中は、炭水化物を主要エネルギー源とし繁栄してきた人類を診療する資格なしと、スリムちゃんは考えます。
現に、私もカロリー制限を伴う糖質制限で20㎏痩せたので、糖質制限の効果や感動はよく分かりますが、「驚異のダイエット法」だと書く医師センセ方を決して信奉することはありませんでした。
特定の栄養素「糖質」いやそれどころか「食物繊維を含む炭水化物」でさえ悪者にする連中を盲信して健康が維持できると思っている人が、令和になってからも少なからずいらっしゃる事は驚きを禁じ得ません。

今回の番組は、医師とビジネスが結びついた一大巨大産業である「糖質制限ダイエット市場」について、令和新時代に入って改めて検証してみようという「国民全体の健康」を考えた、極めて前向きで冷静で公平な内容に思えます。
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【今回のポイント】
●番組は「ダイエットブーム」の検証で始まった
●賛成派は糖質制限治療を推進する協会の顧問
●瘠せる効果は認めるも健康に良くないと語る反対派
●短期的効果はあるが長期的な健康に寄与できるのか

今回は番組冒頭箇所の「糖質制限ブームについて」の検証について、はなはだ私的な感想を書き連ねてみました。
さ、番組はいよいよ「糖質制限はどんなものなのか?」との核心に入って議論されていきます。
次回をお楽しみに!


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