我が国では戦後の75年間を通じて、栄養状態の改善、国民皆保険などの医療充実などで国民の体格も良くなり、そして平均寿命も延びてきました。
その一方で、2017年に公表された厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の調査結果によりますと、男性の18.1%、女性の10.5%が「糖尿病」が強く疑われることが分かったそうです。
また、男性40歳代の3人に1人以上が肥満で、血圧やコレステロールについても目標を達成していないことが明らかになったとの事。
肥満症や糖尿病などの「生活習慣病」が増え続けている原因につきましては、活動(運動)不足や睡眠不足やストレス過多などの要因もありますが、食生活の分野で考察しますと、現時点での私は個人の感想かつ大ざっぱではございますが、以下のように感じています。
1.精製炭水化物の摂取増加
精製炭水化物とは、精製加工された炭水化物、すなわち食物繊維ビタミンミネラルを取り除いた栄養分の少ない炭水化物です。
「うどん+むすび」「ラーメン+チャーハン」「パスタ+ピザ」など、精製炭水化物だけで済ますという食生活習慣は、血糖値が不安定となり、加齢や活動(運動)不足と相まって体重増加につながりメタボとなるという生活習慣病の発症リスクのひとつでありましょう。
2.動物性(肉)食品の脂質の摂取増加
肉や脂の摂取増加により、戦後日本人の体格が良くなり栄養状態も改善されたのは間違いないでしょう。
一方で、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によりますと、食事全体のエネルギー摂取量は1960年代をピークに下がっており、最近はほとんど変化していない一方で、炭水化物摂取量は減少し、増加しているのは、動物性たんぱく質、とりわけ最も増加しているのは動物性脂質との事です。
そして同省の調査結果によりますと、肉に多く含まれる「飽和脂肪酸」の摂り過ぎにより、動脈硬化性心疾患の発症率や乳がん、大腸がんによる死亡率の増加が認められているようです。
3.上記1と2の加工品の摂取増加
精製炭水化物中心の食事や精製加工食品、インスタント食品、ジュース、そしてハム、ウインナーなどの加工品摂取でカロリーのほとんどを賄う食習慣が日常化したのが、巷でよく言われている「食の欧米化」でしょう。
これは世界的傾向ですので「食のグローバル化」とも言えましょう。
このような精製された炭水化物や加工された動物性たんぱく質脂質の摂り過ぎは、それに見合うビタミンミネラルの不足などにより生活習慣病発症の原因になるようです。
4.未精製食物の摂取激減
上記1から3については、正に「食が欧米化」された戦後日本の食生活を示したものだと言えましょう。
例えば、外食の場合はどうしても調理加熱された「脂と糖質(洋食)」「油と糖質(中華)」「糖質の重複(和食)」がメインとなりますので、豆・野菜・海藻などの食物繊維ビタミンミネラル豊富な食材や、未加工や生に近いメニューは少なくなりますしね。
特に、戦前までの日本で多く摂取されていた食物繊維が多い雑穀などの「未精製穀物」は、ほぼ壊滅状態と言っていいほど、その摂取量は激減しているようです。
そして日本においては、未精製穀物(食物繊維ビタミン、そしてミネラルでは特にマグネシウムが豊富な大麦・雑穀など)の摂取量が激減した時点と、糖尿病が増え始めた時点が一致することが注目されるとのこと。
食物繊維は、その役割のひとつとして、血糖コントロールをつかさどるホルモンが正常に機能作用するためのスイッチ役を務めているとも言われています。
あ、ここでおさらいです。
スリムちゃんブログをいつも読んでくださっている読者さんには「また、この図かよw」と失笑されるかもしれませんが、大事なことなので何度も出させていただきます。
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炭水化物=糖質+食物繊維・・・です。
食物は胃で消化されて小腸で吸収されますが、食物繊維は吸収されずに大腸まで届きます。
それを踏まえて話を続けさせていただきます。
上表は、スリム鳴造蔵書「共著;日向正光、小山律子、糖尿病を改善する食物繊維食のすすめ」からの引用であります。
著者の日向先生は福島刑務所医務課勤務時代の勤務中に、2型糖尿病受刑者の経緯を観察した結果「食物繊維食を多く含む食事が、糖代謝を劇的に改善する」との内容を本に書かれています。
まず注目すべきは一番上に記載されたグラフでの「炭水化物全体の摂取量」において、一般日本人より受刑者が多い点です。
右下のグラフでは、食物繊維(炭水化物から糖質を除いた栄養素)の摂取量は、受刑者は一般日本人の約2倍となっております。
特に、大腸までしっかり届いて腸内細菌さん達のご馳走(拙ブログではエサとは呼ばない)となる「水溶性食物繊維」は、何と約5倍くらいの摂取量のようですね。
(ちなみに上表の左下のグラフは、日本人の大麦や雑穀の摂取量が激減している推移が示されています。)
炭水化物=糖質+食物繊維
炭水化物摂取量=日本人男性(少ない)<<<受刑者(多い)
食物繊維摂取量=日本人男性(とても少ない)<<<<<<<<受刑者(とても多い)
ゆ・え・に。。。。で、ある。
糖質摂取量=日本人男性(多い)>>>>>>受刑者(少ない)
シャバ(戦後の日本人)では、炭水化物全体の摂取量は減りながらも「糖質が多い精製炭水化物の摂取」の割合は増えていく一方で、「食物繊維は激減してしまった」という、アカン奴でしょう。
堀の中では、「麦飯」ですので、食物繊維量がむしろ服役の身となって「激増」したということでしょう。
ここで分かることは、「食物繊維を多く含んだ炭水化物をしっかり摂取すれば、病気を防ぐ」という1つのデータでありましょう。

上表は、成人日本人の男女別摂取基準と、実際の摂取量を示したグラフとなっています。
ご覧のとおり、摂取基準(男性20g、女性18g)に対して、2011年現在の摂取量は約14gであり、全く不足しております。
なおかつ、過去60年間、食物繊維の摂取量がどんどん減っており、とりわけ「穀物」からの摂取量は、高度成長期すなわち「食の欧米化」と時を同じくするように、既に1960年代の時点でガクンと激減しております。
つまり、食物繊維をそぎ落とした精白米や小麦粉ばかりの「精製穀物オンリー」であったり、食物繊維がほぼゼロの動物性たんぱく質脂質の摂取量が増えたり、更にそれら(精製糖質や肉脂)をメインとした外食や食生活により、日本人の食物繊維摂取量は激減していると言う現状でありましょう。
今回は、まずは「現代に生きる日本人は食物繊維摂取量が大変少ない」というお話をさせていただきました。
その結果、痔になったり、大腸癌のリスクが高まったりします。また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。そのほかにも、食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあり、食べた時の満足感も高いため、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。通常の食事では食物繊維の過剰摂取の心配はなく、むしろ、現在の日本人は、食物繊維が不足ぎみなので、意識してとる必要があります。しかし、サプリメントなどの健康食品を利用する際は、飲みすぎるとおなかが緩くなったり、他の栄養素の吸収を妨げたりする可能性があるため、注意が必要です。【出典;公益財団法人長寿科学振興財団HP「食物繊維の働きと1日の摂取量」より抜粋引用させていただきました。】
最新の研究では、食物繊維の多い野菜などや全粒穀物を多く食べている人は、まったく食べない人に比べ、2型糖尿病や心臓病、脳卒中がんなどの慢性疾患の発症リスクが低下することも明らかになっているそうです。
当特集「食物繊維をモリモリ食おうYO!」シリーズでは、「食物繊維」とは何か、そして、その役割について読者の皆さんとご一緒に考えていけたらと思っています。
さらに、食物繊維を日ごろの食事に取り入れていくための美味しィヘルシーレシピについても深掘りしてご紹介する予定でございます。
お楽しみに!
「食物繊維」をモリモリ食おうYO!【特に穀物】シリーズ
①現代の日本人は食物繊維不足だお(^ω^)
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