釜池豊秋「糖質ゼロの健康法」 (前半)
画像は釜池氏2冊の著作。出版社は違うが、タイトル文字はいずれも縦書きで明朝体であるなど統一感がある。人を不安に貶めるような煽りはなく「医者に頼らない食事術」「食べても太らない健康法」と「ご提案スタイル」で、「こういう方法もある。やってみないか」と読者を前向きな気持ちにさせるオーラを感じさせる。ややもすれば「炭水化物が人類を滅ぼす!」とか「糖尿病が99%治る断糖」だの、扇情的なタイトルで消費者を煽り「売らんかな主義」が前面に出過ぎた感のするクソみたいな愚本が多い「民間療法の健康関連ホン」だが、釜池氏はそれがメインであれサブであれ、そんな愚かなタイトルは許さないであろう。あくまで私の想像だが、釜池氏はノルマを抱えた担当編集者にも一切妥協せず、著者主体でホン作りが行われたと思われて、好感が持てる。
著者の釜池豊秋氏は、1946年大阪府生まれ。1972年京都大学医学部を卒業、京都大学付属病院に研修医として勤務。1975年京都大学医学部麻酔科助手。1978年玉造厚生年金病院に整形外科医として勤務。1980年市立宇和島病院に整形外科医として勤務。「肩たたき(糖質ゼロの食事術P18、執拗な追い出し作戦に嫌気がさして早期退職者優遇措置を受けた、と記述されています。)」により、1997年同病院を退職。アスリートとしてトライアスロンに挑戦し宮古島、徳之島、佐渡、皆生の大会で1位。ハワイのアイアンマン・レースで5位入賞。1998年プールつきの医院アクアクリニック別当を開院。「運動療法」を治療の根幹とし、食事療法として「かまいけ式糖質ゼロ食」を開始。肥満・糖尿病に悩む多くの人を救ってきた。(ここまで「糖質ゼロの食事術」の著者プロフィールなどから抜粋引用しました。その後、医者を廃業されて田んぼのない(糖質のない)沖縄の離島に移住したというご本人の弁による2012年の講演動画を拝見しました。)
①内容について
「糖質ゼロ5か条」1.食事はカロリーよりも糖質に注目する2.1食の糖質摂取量を最大で5gまでとする3.たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルはしっかり摂る4.糖質が多い穀類、果実類、菓子類などは摂らない5.朝食抜き、夜がメイン食事まずは、あれこれ考えずに3日でも1週間でもやってみること。空腹感な満腹感で満たされ、体が軽くなり、体調がよくなることをご自身で体感してみてください。(~糖質ゼロの健康法P17より、抜粋引用~)
「糖質摂取は限りなくゼロ(最大5gまで)にしなさい。しかも食事は朝飯ヌキだ!」・・・・という、一般人が実践するには大変厳しい釜池氏の「掟」であります。
しかし、他の糖質制限推進派、すなわち「肉・卵・チーズを30回噛んで食えば痩せる」とかいうMEC派センセや「肉を食ってれば野菜さえ食わなくていい、断糖すればガンが消えるんだ」という断糖派センセのような特定の食品にフォーカスした急進的で扇動的なフードファディズムの押し付けはなく、「たんぱく質脂質はしっかり摂る」と特定の食材には限定しておらず、シンプルでストレートなご教示となっています。
更に2011年発売というこのホンでは、既に7年前の時点で3大栄養素だけにフォーカスするのではなく栄養素ではない「ビタミン・ミネラルもしっかり摂る」とはっきり述べておられるのが他のセンセ方とは大きく違う点であり、古いホンでありながら今もブレることなく読者に訴えかける骨太な内容になっています。
また大きな特徴として「医療行為が原因で糖尿病が進行してしまった医現病に蝕まれた人」に向けてとりわけ詳細に丁寧に筆を進められており、「投薬やインスリン治療で余計に病状が悪化した人」を救いたい一心で書かれていることも伝わってきます。
②私「スリム鳴造」が気になった書中のキーワードと感想
●「糖質ゼロ食は糖尿病を治すのではなく、医者に糖尿病にさせられない食事法なのです(p44)」
釜池氏は「糖尿病とは糖質を摂ると高血糖になりやすい状態=耐糖能異常(p42)」と定義しています。そしてこの高血糖状態は現代医療では「病気」というカテゴリーにされてしまい、投薬治療後はインスリン注射(血糖降下)が始まり、しまいには「治療によって"糖質を摂らなくても"高血糖になってしまう体にされる」と述べ、このような「血糖値をあげるものをたくさん食べさせておいて降下剤を飲ませるマッチポンプ」は医者が作る病気「医原病」であると、読者に訴えています。そして著作ではかなり進行した糖尿病患者に対する「食事法」「健康法」も詳しく解説されています。幸いな事に、私の場合は現在のところ薬物治療も受けずに血糖コントロールができていますが、釜池先生の講演動画や著作を通じて「医者に頼らず自分自身が主体的に行動すること」を学び、自分自身の健康法・食事法を実践するにあたって大きな一助(全影響を受けた訳ではない)となったことは間違いありません。
●「ヒトという動物はもともと何を食べていたのか(p36)」
釜池先生は「現在の糖質制限業界のリーダー的存在っぽい江部先生」に糖質制限を教示されたという事です。つ・ま・り。。。。は、だ。釜池先生こそ良い意味でも悪い意味でも日本における「現在の糖質制限ブームの教祖というか先祖的立場」と言えましょう。
さて糖質制限推進派センセたちは、文化人類学者でも考古学者でもないくせに、人類の文化に大変お詳しいらしく、壮大な食生活の歴史を決めつけて必ず語られます(大苦笑)
「人類の歴史(センセによって400万年、600万年、700万年と異なるw)のうち、糖質を摂取するようになったのは農耕が始まった、わずか1万年前からだ(ドヤッ)・・・だから人類にとっては摂取したら毒になるんだ」と。アホか。
御多分に漏れず、この釜池センセも著者でこのように書かれています。「400万年のうち穀物栽培が始まる1万年前までは人類は骨髄を主食にしていた(p37)」と、勝手に決めつけちゃっています。
そして「だから人類は糖質は取っちゃいかん」と誘導していくわけですが、この箇所は、私にとっては気が狂っている頭のおかしいセンセとか言いようがないですね。
このような頭のおかしい「糖質を敵とする人類何百万年の歴史」の言及を始めたのも、ひょっとしたら、コノ釜池のおっちゃんが「元祖」なのかもしれません。
だって他の糖質制限盲信推進派センセ方ほとんどが、この「糖質食い始めたのは1万年前から説」を唱えておられますからwww
また、釜池氏は「消化管が草食動物と違うから人類は肉食動物だ」と言い切っておられますが、うーん、果たしてそうなのでしょうか?
人類は肉食動物のように肉を切り裂く鋭い牙は持っておりませんが、穀物をすり潰すのに適した臼歯や親知らず等の歯を持っておりますし、アミラーゼなどの糖を消化する酵素も多く持っているそうです。
釜池(糖質ゼロ)や江部(スーパー糖質制限)や渡辺(肉卵チーズを30回噛んで食え)などの人類の歴史を語ったらアホになる連中が主張する「1万年より昔の人類は糖質は食べてないよ」という説には全く賛成できませんね。
農耕が始まった1万数千年前から「牧畜」が始まったようです。釜池や江部や渡辺などが「農耕が始めるまでは糖質食ってない」というなら「牧畜が始まるまでは肉食ってない」と同じように言えるのではないでしょうか?
つまり、「農耕牧畜が始まる前は人類は肉であれ骨髄であれ木の実であれ、何でも狩猟採集していた雑食動物だった」と考えるのが一般の社会人ではないかと、私はそう思います。釜池先生の「医原病に苦しむ患者を救いたい」という熱意は理解できますが、「人類の壮大な歴史」を持ち出す時点で「このおっさん、大丈夫か?」と思うのは私だけでしょうか?w
農耕と牧畜の始まり
今から1万数年ほど前から、世界の各地で農耕が始まり、動物も飼いならされていった。
牛や羊などを飼いならし、乳や肉を取る牧畜を始めた。
農耕で得られた農作物を保存する必要性などから土器(どき)が発達した。
土器は、食料の保管や煮炊き(にたき)に使われた。
また、農耕では、農地の近くに住み続ける必要があるので、竪穴住居(たてあなじゅうきょ)などの住宅が発達した。
同じころ、石器をつくる技術が発達し、石をみがいた石器である磨製石器(ませいせっき)が作られ始めた。
(WIKIBOOKS 「中学校社会 歴史/新石器時代」より、抜粋引用いたしました。)
釜池センセは「人類はヒト本来の糖質ゼロに戻るべき」とご高説を述べられておられます。
賛成反対以前に、この説は色々な思いを想像させてくれます。
「糖質(農耕栽培)中心の生活になったからこそ、定住や道具や牧畜が発達し、それが人類文明の礎になった」という中学校の教科書にも出ている事実。私は、農耕開始以前の人類も木の実・どんぐり・果物などの植物性食品、つまり糖質を食べていたと思うし、そう考えたほうが楽しくなります。
例えば、NHKのYoutubeチャンネル【人類誕生CG 440万年前の人類は愛妻家でイクメンだった!?】を、視聴してみてください。我らが人類の祖先さまが 、糖質たっぷりと思われる「大きな木の実」をたくさん採集して食料にしている様子が描かれています。
「ヒト本来」って何でしょう?文明以前の狩猟採集など食べ物探しで一生を終える野生動物に近い生物が人間本来の姿なのでしょうか?いや、それも地球環境にとっては良いのかもしれませんが、しかし・・・・。
そして「糖質ゼロに戻れ」とは?本当に1万年以前の「699万年」は糖質ゼロだったのでしょうか?
●なぜ「糖質制限食」ではなく「糖質ゼロ食」なのか(P90)
釜池先生は、かつての教え子?である江部先生の「糖質制限食」について「(糖質ゼロではない)糖質制限では食事のたびにインスリンが放出されるから、肥満・高脂血症の改善に限定的な効果しかない」と、書かれています。
ここに釜池氏著作の最大のテーマが浮き彫りになっています。釜池氏はこう言っているのです!
「人類は"インスリンを放出"してはいけない」
「人類はインスリン放出のない"糖質ゼロ食”で寿命120歳だ」
それにしても凄まじい釜池氏のご主張です。「インスリンを分泌させるな!」
↓
糖質を摂取しなければ血糖値が上がりにくくなるのでインスリンは放出しなくなる。
つまりインスリン放出させないために血糖値が上がりやすい糖質はゼロにすべき。
↑
このインスリン放出をしないさせない「釜池式糖質ゼロの食事法・健康法」は、健常者や、まだ進行していない糖尿病患者は決して真似をしてはならないと私は思います。
糖質を完全に摂取しない食生活を続けた場合、「糖質を代謝する機能」がサボってしまい、もはや一生涯糖質を受け入れ難い体になってしまうのではないでしょうか(耐糖能の悪化)
そしていみじくも「インスリン注射などの医療行為で糖尿病が酷くなる」と同じことで「インスリンを絶対放出させない糖質ゼロ食事で糖尿病が悪化」してしまうでしょう。釜池先生のおっしゃられた「糖質を摂取していないのに血糖値が上がる」状態になるものと思われます。糖質を摂らない「食事法」を長期に続けることの様々な弊害のデータが掲載されている記事もあります。今、既に「治療によってかえって血糖コントロールができなくなった人」は、この釜池先生の著作も、ぜひ参照のひとつとして読まれることをおススメしますが、それ以外の方は「一生、文明社会に背を向けた糖質ゼロの生活を続けます!」という覚悟を持った人以外は実践すべきではないと、思います。
(医現病により糖尿病が悪化している人は、新井先生の低インスリン療法のほうが参考になると思われます。→新井圭輔「糖尿病に勝ちたければ、インスリンに頼るのをやめなさい」薬併用等、現実的な治療法も書かれていますから。)
メタボ豚造「zzzzzzz」
スリム鳴造「お、おい!豚造クン。起きろよ!」
メタボ豚造「ん?カツカレーお代わりっ?」
スリム鳴造「何、寝ぼけてるんだよ。人が一生懸命に書評してるって時に、よ(苦笑)」
メタボ豚造「あ、俺寝てた?つーか、今回記事が長いわw そろそろ釜池先生のおススメ度を語ってくれ」
・・・・・と言うわけで、次回「釜池豊秋先生のホン後半、おススメ度」へ続きます!
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